2006年01月07日

パブリックコメントへの提出意見(2)

●知的財産推進計画において実施された施策の効果測定について

知的財産推進計画において、いかなる施策が実施されたかについては、各法律の改正状況等を見ることである程度把握することが可能であるが、完全な把握は難しい。知的財産戦略本部は、今回のパブリックコメントの際に、各計画についてどのような形で実施されているかを先んじて公開するべきであった。また、それら実施された施策について、どのような効果が得られているかを評価しうる程度の統計資料がまとめられ、公表されていなければならないはずだ。
基礎的な資料が存在しないのにもかかわらず、意見募集をするということは、基本法第20条の規定にもかかわらず、意見を述べようとする者に資料収集を委ねているように見える。現在のままでは、収集の努力や負担に耐えうるある程度の資金力と研究資源をもった団体のみが意見を述べることになるだろう。もしくは、意見募集において集められる意見は、単なる印象評価や願望に近い要望に止まってしまう。意見募集を、ある政策を推進するにあたっての形式的な「言訳」としないためにも、さらに国民の知恵を政策に生かすためにも、意見を形成するのに必要な基礎的資料を準備・公表するべきである。

例えば、著作権関連で実施しなければならない調査として、以下のものが考えられる。これらについての調査を行い、実際に効果が上がっていないようであれば、その制度の見直しを含めて考えるべきであろう。

・書籍に関する貸与権 (知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画)
レンタルコミック店への対応策として、著作権の附則が削除されている。まず、この制度がきちんと運用されているかどうかを調査する必要がある。出版物貸与権管理センターは創設されたものの、ウェブサイトでは貸与許諾書籍の一覧すら公開されていない状況が続いていて、実際の運用状況も不明であるため、調査の必要がある。また、この制度によって、実際に新刊市場 (特にレンタルコミック店によって影響を受けると考えられるコミック市場) がどの程度伸びているか、レンタルコミック店への影響はどの程度かについても、あわせて調査する必要がある。

・著作権等の保護期間 (知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画)
映画の著作権の保護期間が50年間から70年間に延長されたが、この延長で、いかなる形態で、どの程度の量の活用が行われたのか、また、この延長で、どれだけ創作に影響を与えているのか。具体的には、法律の施行後に、著作権の延長された著作物がどれだけの収益をあげているのかを調査する必要がある。また同時に、著作権が延長されたことで類似作品を公開できなくなった等の事例があるかどうかも、調査する必要がある。さらに、期間の延長によって滅失の可能性が生まれた事例、逆に保護・活用が進んだ事例についても公表する必要がある。

・レコード輸入権 (知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画)
・音楽レコードの還流防止 (知的財産推進計画2004)
わが国の音楽産業が、アジアへの音楽商品の輸出を拡大し、進出するために作られた制度である。この法律の施行後、どれだけの数の音楽商品がアジアで生産・流通するようになっているのか。具体的には海外での生産数、販売枚数、ライセンスの状況等を調査する必要がある。

・損害賠償制度を強化する (知的財産推進計画2004)
・知的財産権侵害に係る刑罰を見直す (知的財産推進計画2004)
罰則の引き上げにより侵害件数を減らすことを目指しているが、これによって実際の侵害件数にどの程度の差が出ているのか、また、引き上げられた上限の刑罰が利用されているのかどうかについて、調査する必要がある。
posted by grigori at 15:27| Comment(1) | TrackBack(1) | 記事
この記事へのコメント
どうですかね?
知的財産権は保護すべきだとは思いますが
ジャスラックのような既得権益集団もありますから
その辺もよく吟味して頂きたいと思います。
Posted by 福岡夜遊び at 2008年09月12日 00:17
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