2006年03月25日

知的財産推進計画2006への茶会案

読者の皆様ごきげんよう。

「パブコメについて」という記事でもご紹介いたしました通り、知的財産推進計画2006へのパブコメが募集されています。(詳しくはhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pc/060308comment.htmlをご覧下さい)

常日頃から知財に関するあれこれについて思いを巡らせているであろう読者の皆様は、既にご意見を提出済みかとは存じますが、何らかの参考になればと思いまして、ここに茶会案を公開いたします。
以下お読みくだされば幸いです。
知的財産推進計画2006へのロージナ茶会からの提案

1. ここ数年の著作権法改正に関する議論をみると、商業的あるいは経済的利益を最大化しようとする目的(以下、「商用目的」また、この目的のために制作された作品を「商用著作物」と呼ぶ)と、芸術的あるいは人格的利益を最大化しようとする目的(以下、「芸術目的」また、この目的のために制作された作品を「芸術著作物」と呼ぶ)の両方を同時に達成しようとするために、そのいずれの目的の達成も十分とならないという状況があるように思われる。そこで、ここでは、著作権法第75条にすでに存在する登録制度を活用し、創作者の目的に応じて、著作物を商用著作物と芸術著作物のいずれかを選択できるようにし、それぞれの目的に適合的な保護制度を準備するべきであると考える。

なお、以下「著作権」に関連して述べていることは、当然に「著作隣接権」を含んで述べているものとする。

1-2. 商用著作物と芸術著作物それぞれに、それぞれの目的に適合的な保護を与えることで、創作者をして自らの作品をいずれに位置付けるかを明確にせしめうると考える。その内容は以下のとおり。

a. 商用著作物については、創作に必要な資金調達を容易にするための制度整備を進める。具体的には、ある著作物そのものあるいは著作物を制作するために成された投資の集合体を財団類似の法的主体として構成し、信託あるいは株式会社と類似した法的構成でその経済的利益の回収と配分を明確かつ確実なものとする。

b. a の目的のために、商用著作物については、著作物登記制度と信託あるいは株式会社登記制度を結合したような制度を創設する。一方、芸術著作物については、ベルヌ条約の中核的保護対象であることを踏まえ、現行どおり無方式主義を維持するものとし、創作と同時に当然に著作権が発生するものとする。

c. 商用著作物については、創作者及び投資者保護の目的のため、侵害が明白でありかつ具体的に経済的利益を侵害する様態での侵害、すなわちデッドコピーについては、著作権法第123条の適用除外として、非親告罪化する。

d. 商用著作物については、その経済的利用を不安定化する懸念のある事項に関する著作者人格権に関して、投資者保護の目的のため、創作者の合意に基づく著作者人格権を制限する契約の有効性を法的に確認する。

e. 芸術著作物については、創作者本人の人格的利益の強化をはかるため、現在ひろく行われている作品の買い上げ契約を無効とする強行規定を著作権法に規定する。また、契約によって著作財産権の一部あるいは全部を他者に譲渡する場合においても、契約にかかわらず、一定の受益権が創作者本人に残るとする強行規定を著作権法に規定する。

f. 芸術著作物の流通(オークション等)に伴って創作者本人がその売買代金の一部を売主に請求することができる、いわゆる追求権を著作権法の規定に導入する。

g. 技術の発展にともなって生じた芸術著作物の新しい利用法については、当然に創作者本人が留保しているものとする確認規定を著作権法に導入する。どのような改善変更が行われた場合に、新しい利用法であると認定するのかを決定する基準についても合わせて規定する。

2. 近年、インターネット等の著作物の流通経路の多様化に伴い、広く周知されていながら、作者不詳の著作物が多数あらわれるにいたっている。しかしながら、その著作物を使用したいと考えた利用者にしてみれば、権利者が不詳であるため、使用許諾交渉先が存在せず、結果的に周知されている著作物であるのにもかかわらず、活用がすすまないという経済的目的および文化的目的のいずれをも阻害するような状況が生じている。そこで、ここでは、著作権法第67条にすでに存在する裁定制度を改訂し、周知されているが作者不詳の作品について、一定の要件のもとに、文化庁長官による公有宣言を可能とし、ひろく著作物の活用を促進すべきであると考える。

a. 裁定に関する著作権法第70条を改訂し、何人かによる請求に伴う裁定の効果を一般に拡大する公有宣言の規定を置くと同時に、何人かによる請求がなくても、文化庁長官の発意によって調査を行い、著作権者が存在しない場合に公有宣言できるものとする。

2-1. ソフトウェア業界において、広く用いられている許諾条件である Free Software Foundation の General Public License や、Open Source として認知されている各種ライセンス、また、コンテンツ領域において提唱されている Creative Commons 等の各種ライセンスを著作権法の下部規定として認知し、それらのような各種ライセンスの有効性を著作権法上においても明確にすべきであると考える。

3. 近年、インターネット等の著作物の流通経路の多様化およびデータベース技術の高度化に伴い、デジタル形態でインターネット上に公開されているさまざまな著作物を、高度に統合的に活用しうる状況が生じている。とくに、今後の知的財産戦略を鑑みるに、国内に過去及び現在存在するあらゆる知識と著作物を統合的に活用し、それらの経済的および文化的価値を最大限に引き出すことが必要であることは言うを待たない。そこで重要になるのが、アメリカのGoogle社のサービスに匹敵するような、大規模汎用データベース(以下、「マス・アーカイブ」と呼ぶ)の整備である。ところが、著作権法の規定には、マス・アーカイブの整備や運営と整合的でないものがある。ゆえに、著作権法第30条以下に規定されている著作権の制限規定に、適切な要件のもとマス・アーカイブ整備運営の目的のために著作権を制限しうるものとすべきであると考える。

a. 著作権法第30条ないし50条のいずこかに、公用(あるいは公共用)大規模汎用データベースへの収録および利用のための複製について、著作権を制限する規定をおく。

4. 政府の知的財産戦略において、わが国のマンガ、アニメおよびゲームといった主として青少年を受容層として想定しているポピュラー作品(以下、「ポップ著作物」と呼ぶ)が注目を集めている。これらのポップ著作物においては、広くかつ厚い愛好者層、支持層があるのみならず、それらポップ著作物を元にさらなる創作活動をそれら支持層が行うことによって、次世代の創作者を生み出し、また新しい市場を拡大しているという事実がある。そこで、個人によって行われる商用目的ではない翻案活動(以下、「二次創作活動」と呼ぶ また、二次創作を行う創作者を「二次創作者」と呼ぶ)について、原作品の権利者が差止や損害賠償請求といった法的措置をとる前に、一定の手続による事前警告をすることを著作権法上で義務付け、二次創作活動を行う者が不意に訴訟の対象とならないような措置を講ずるべきであると考える。

4-2. ポップ著作物に関連して、二次創作者たちが、一定の時間あるいは空間において、二次創作物を制作実費回収程度の価格での販売や交換していることは、広く知られている。しかしながら、こうした販売や交換は厳密に解釈すれば著作財産権を侵害する行為であるとみることができ、それら販売や交換活動が一種の脱法状態にあったことは否定できない。とはいえ、それらの販売や交換を禁ずることは、ポップ著作物の活気を削ぎ、政府の知的財産戦略の趣旨および方針に反することとなる惧れがある。そこで、著作権法を改正し、一定の要件に加えて空間あるいは時間を限定した強制使用許諾制度の導入を検討すべきであると考える。


以上です。パブコメ提出とともに茶会案に対するご意見も是非どうぞ。
それではみなさまに輝きがありますよう。
posted by grigori at 02:44| Comment(4) | TrackBack(2) | 記事
この記事へのコメント
や、早速アップしてくれたね。ありがとう。
Posted by A.A at 2006年03月25日 08:30

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Posted by goodwork icz at 2007年02月28日 23:59
Posted by goodwork doq at 2007年04月30日 23:59
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